2005年3月3日

ドイツでは、1ヶ月の手取り所得が940ユーロ(約13万円)の市民を、貧困者と定義づけている。ドイツ政府が発表した統計によると、貧困者の比率は昨年12%だったが、今年は13%に増えている。1月の完全失業者数は520万人と、戦後最悪の記録を更新した。富裕層と貧困層の間の格差は広がる一方であり、社会の米国化が進みつつある。零下10度の日常をさらに憂鬱にするような数字ばかりだ。

一方、日本で憂鬱なのは、東京直下型地震の被害予測だ。予想される被害額は実に110兆円。GDPの20%、国家予算の1・4倍が一瞬の内に吹き飛ぶ計算だ。死者1万3000人、避難者700万人という予測には暗澹とした気持ちになる。小泉政権は、イラクに自衛隊を送ったり、憲法を改正したり、郵便事業を民営化したりするのも結構だが、その前に東京の市民の生活を守るのが先ではないだろうか。首都機能の分散については、阪神大震災直後に一時議論されたが、今では立ち消えになった。それとも「もう首都移転には遅すぎるから、民草が有事の時に死ぬのはやむを得ない」というのが本音なのだろうか。

韓国では、首都機能の一部をソウルからやや南の都市に移すことが決まった。公には発表していないが、北との有事を想定してのことであろう。日本よりも、韓国の方が安全保障の面では、現実的な対応をするのであろうか。

いずれにしても、死者1万3000人というのは、絶対に外れてほしい予測である。